高齢者の身体は、若年層が思う以上に負担や不安を抱えているものです。「歩くのも止まるのも、思うように動かない」「見ているのにピントが不安定でもどかしい」「聞き取れず、会話のスピードについていけない」などと、誰もが年齢を重ねていくうちに前とは何か違うという変化を感じるようになります。高齢者自身がそれらに落ち着いて対応できるのならばよいのですが、大方はそうではないでしょう。高齢者とコミュ二ケーションを取る上では、少し気を付けてあげることで、お互いが気持ちよく笑顔でいられます。例えば歩く時。高齢者は足腰の筋肉が弱く、バランス感覚も鈍っています。急に止まって危険を避けたり、方向転換したりと、状況に応じて瞬時に対応できない場合があるため、一緒に歩くなら高齢者のスピードに合わせて歩き、周囲に注意します。高齢者が段差の無い場所を歩けるように自分が動く、避けるべき物や人は自分が避ける、もしくは高齢者が停止したり動く時には自然に手を添えてあげるとよいでしょう。
会話がスムーズに行えているように見えても、実は高齢者側が頑張って聞き取ろうとしてくれているのかもしれません。過剰な気遣いは不快を与えるので不要ですが、自然に、ゆっくりしっかり発音する、くらいには気を付けたいものです。身体の変化として、頻尿だったり乾きを感じにくくなるため、まったく水を飲まなかったりすることもあります。無理にトイレを我慢していないか気にかける、「一緒に行こうよ」と促してあげるとほっとする高齢者も少なくありません。少しでも目の前で水分を口にするように一緒に飲む、というように、「一緒に同じことをする」のは効果的なのです。促すのも押し付けにならないようにするのが大切です。